反共の砦 2015 7 12

漫画 「学生 島耕作」
著者 弘兼 憲史  講談社

 この漫画は、数十年前に大ヒットとなった、
「課長 島耕作」の主人公の大学時代を描いたものです。
 私は、偶然、本屋で見つけて、
当時の大学事情、
いや当時の社会情勢を知る上で興味深いと思いました。
 当時の大学では、学生運動の嵐が吹き荒れていました。
この運動は、最初は、「学費値上げ、反対」というものでしたが、
やがて、左翼の運動家が入り込んで、
「貧富の格差」を問題とする運動に転化して、
最終的には、「革命マルクス主義」の推進になりました。
 こうした学生運動は、小規模なものではなく、
大学全体を巻き込んで、時には、機動隊が突入するものだったとあります。
 そういうわけで、現代の左翼に高齢者が多いのは、
この時代に起因すると思われます。
 主人公の島耕作は、
「親から学費を払ってもらい、仕送りまで受けているのに、
勉強もしないで、こんな運動をするのは、おかしい」と思っていましたが、
このようなことを考える学生は少なく、
当時は、左翼運動が一種のブームやファッションだったと思われます。
 こうした社会情勢になったのは、
当時の日本がおかれた国際情勢にあります。
 日本は、ソ連や中国という、
巨大な共産主義国家に隣接しているようなものでしたから、
日本が共産主義化しても、不思議はなかったのです。
 こうした共産主義化に関しては、
早くから、GHQのマッカーサー元帥も懸念していました。
 マッカーサーは、日本との戦争に勝って、
日本を占領したものの、
「やがて、日本が共産主義化してしまうのではないか」という懸念と、
「そもそも、日本は、防共の砦、反共の砦だったのではないか」という思いがありました。
 しかしながら、さすがのマッカーサーも、
アメリカ政府やホワイトハウスが、一時期、
共産主義者に乗っ取られていることまでは、知らなかったと思います。
こうしたアメリカの共産主義化については、以下の文書を参照してください。

「べノナ」文書(米軍諜報部が解読した旧ソ連情報部の秘密文書)
(以下は、ウィキペディアから引用)
 1995年、ベノナ(ソ連暗号解読プロジェクト)が機密扱いをはずされ、
ソ連の暗号通信の内容が明らかになった結果、
ソ連のスパイ行為は、マッカーシーの見積もりよりも、
さらに大規模なものだったことが判明している。
 ベノナは、特にソヴィエトのスパイに色々な方法で協力した、
合衆国の市民、移民、そして永住者を含む少なくとも349人の人々について言及している。
 マッカーシーは、ベノナ秘密情報への接触はなく、
彼の情報は他の情報源からだと信じられている(FBIのフーヴァー長官からだという)。
 ベノナは、マッカーシーにより調査された、
ある人物達が、事実、ソ連のスパイであることを明らかにしている。
 たとえば、メリー・ジェイン・キーニーは、
マッカーシーにより単に「共産主義者」とされているが、
実際には、彼女も、その夫もソ連のスパイだった。
 マッカーシーにより名指しを受けたロークリン・カーリーは、
ルーズヴェルト大統領の特別顧問だったが、
ベノナによりソ連のスパイであることが確かめられた。
(引用、以上)
 マッカーシー(1908〜1957)は共和党の上院議員で、
1950年に国務省に潜む共産党員の名簿を入手したと発言し、
一躍、世界の注目を浴び、
彼の反共産主義運動は「マッカーシズム」と呼ばれました。
(参考文献 ジョセフ・マッカーシー著「共産中国はアメリカがつくった」)





































































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